大体把握出来てきた。
蕩けて消えてしまいたい時がある。
それは決して消極的な気持ちではなく、布団が温かくて心地が良いとかそういう類のよくある思考だ。
とは言え俺は寝付きも良ければ寝覚めも良い。本当にごくごくたまに、どんな条件が揃ってかはわからないがトロトロとしみてしまうのだ。
海馬は人を初めて家に招待したのに翌日の朝までぐっすり寝こけた前科がある。
御大層な接客は受けたもののアレは無いと今でも思っている。
本人曰く眠るのは嫌いで極力起きて活動していたいらしい。いつも壊れたように眠る。それが嫌だと言っていた。自社技術でサイボーグになればいいのに。
夢はいい夢がいい。
俺はあまり見ない。海馬は割と見る。
いちいちそういうのが全部違う。
共有が欲しい訳ではない。
「城之内くん。」
優しい声で起きるのは悪くない。
「…今、何時だ?よく寝たぜー!」
「四限終わっちゃったよ。」
「飯じゃねーか。飯。」
寝覚すっきりで弁当箱を取り出す俺に皆は苦笑している。
斜め前の空席が目に入る。
多分アイツもまだ寝てる。
「いただきます!」