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ぼろり。

趣味日記。

単純な刷り込みが未来に続く話。

俺とモクバが施設にいた頃だ。

遊戯室という部屋の壁に仕掛け時計が掛かっていた。

それは幼い園児達には到底届かない高さにあり、大人でもそれなりの脚立を使わなくてはならない。

それが理由の横着なのか何か意味があったのか、別の程よい位置には目に痛いオレンジの枠の、文字盤が大きく読みやすい丸時計があった。

皆がそちらを見ていた。

仕掛け時計は忘れられたように針を止めていた。

「という夢を見たんだ。」

寝ているとばかり思っていた城之内は「だからどうした」というツラでこちらを見ている。

「夢か?マジにあった話か?」

「貴様風に言えば『マジにあった話』だ。」

「貴様風ってお前な…」

翌日俺は自社の玩具などを持参し、海馬家に引き取られてから初めて施設に赴いた。

ここは養子に来る前の過去、決して振り返る事は無いと思っていた。

少し老いた当時の職員は園長になっている。

「なぁ!遊戯室ってどこだよ!」

段ボールで両手が塞がった城之内は今日召し抱えたアルバイトである。足元には玩具を催促するちびっ子達が無数。

「向こうだ。」

こんなに小さかったのかという扉を開けると、あの仕掛け時計が未だ時を止めたままこちらを見下ろしている。

時刻は12時25分。